インスリン療法へ不安をお持ちの方へ
血糖値が高い状態が続くと、すい臓はインスリンを出そうと常に働き続けます。その結果、インスリンの分泌は徐々に少なくなり、やがては分泌そのものがなくなってしまう危険があります。
インスリンの働きが低下、もしくは無くなることは、身体の血糖を調整する働きが弱まることで、血糖管理が悪化し、血管が傷ついていくために、合併症の進展に大きく影響します。
糖尿病と診断されても、すい臓の機能が十分残っているうちに、より早くインスリン治療を始めて、体外から注射でインスリンを補充すると、すい臓の負担を減らすことができます。結果としてすい臓が正常に働けるように戻すことができる可能性もあります。
また、早期に治療を始めることで、注射も1日1回ですむ場合もあり日常生活への負担を軽減しより少ない注射回数から始めることができますし、お薬の量を減らすことができます。
治療がしっかり継続されれば、血糖管理もよくなり、合併症予防やその進展を遅らせることができます。また、血糖値・HbA1cが非常に高くなる前に早く始めれば、インスリン治療をやめられることもあります。
弘世 貴久著:これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入 第1版, メディカルレビュー社, 15-20, 2009
監修:東京医科大学 内科学第三講座 主任教授 小田原 雅人 先生