インスリン療法へ不安をお持ちの方へ

高齢者とインスリン療法

高齢者の糖尿病のインスリン治療の目的は、大きく分けるとケトアシドーシスや非ケトン性高浸透圧性昏睡などの糖尿病の急性合併症の予防、糖尿病の慢性合併症(網膜症、腎症、神経障害など)の発症・進展の防止、QOLの維持・向上です。
高齢の糖尿病のある人は、他に病気を抱えていたり、身体機能や認知機能などの状態がさまざまです。さらには生活・社会環境もそれぞれに異なるため、個々人それぞれに合わせたきめの細かい治療になります。患者さんの認知機能や洋服の着替え、移動、入浴などの日常生活ができるかどうか、またのんでいる薬によって、治療の目標値は異なってきます。

辻野元祥 著 編:ナースのためのやさしくわかる糖尿病ケア ナツメ社, 181-183,2011


インスリン療法

1型糖尿病あるいは2型糖尿病で、高血糖が持続して経口薬やGLP-1受容体作動薬でも管理できない場合にインスリン療法を行います。

できること。気をつけること。知っておきたいこと

  1. インスリン治療は重症低血糖を起こしやすいので、低血糖の予防や早期発見のための方法を担当医と話し合っておきます。
  2. 高齢者のインスリン治療では、認知機能やQOLを考慮して、内服薬との併用で注射回数を減らす場合もあります。
  3. スライディングスケールによるインスリン投与は、低血糖のリスクが高いので慎重に行います。

監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生