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妊娠に関連した糖尿病は、発症の時期や状態によって妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠の2つに大きく分けられており、妊娠の際には、誰しも糖尿病あるいは糖代謝異常がないかチェックが行われています。
これには、診断基準があります。
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2018-2019, 文光堂, 100, 2018
いわゆる糖尿病とまでは診断されないが糖代謝の異常が妊娠中に起こります。現在のところ、妊娠糖尿病は、肥満である、急に体重が増えた、家族に糖尿病の人がいる、過去に巨大児を出産した経験がある、高齢である場合などで発症する危険性が高まります。
妊娠糖尿病では、出産後一時的に糖代謝の異常が改善しても、糖尿病に発展することがありますので、出産後の長期的なフォローが重要になります。
糖尿病が妊娠前から存在している場合のことをいいます。
糖尿病合併妊娠で最も重要なのは計画妊娠です。糖尿病合併妊娠はお腹の子どもに先天性の異常が起こる危険性が高いとされ、また、母体の糖尿病合併症が悪化する可能性があります。計画妊娠は、この危険をなくすために妊娠する前から徹底した糖尿病治療と血糖コントロールを行って糖尿病をベストの状態に保ちつつ妊娠に望む方法です。産後の状態、糖尿病合併症の予防にもなりますので、できれば子どもが欲しいときには、パートナーと相談し協力を得て臨めると妊娠前の準備がしやすくなります。
また、妊娠中は網膜症や腎症などの糖尿病合併症が発症・進展しやすくなりますので、妊娠前にこれら糖尿病合併症の評価・治療を行っておく必要があります。
ちなみに、出産後に糖代謝異常が改善しても、その後母体が糖尿病になる危険性が高くなります。でも、これらは妊娠に際して糖尿病や糖代謝異常の処置を何もせずに放置した場合です。あらかじめ注意して妊娠前、妊娠中、出産後と、きちんとした対応をすれば心配はありません。糖尿病だからといって子どもを産めない、育てられないということは全くありません。
宮崎久義、豊永哲至 編:わかりやすい糖尿病テキスト 第5版 じほう ,88-91,2018
難波 光義、杉山 隆 編・著 : 「妊娠と糖尿病」母児管理のエッセンス, 金芳堂 ,154,159,164-168,179,182-183,196, 2014
監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生