DMTOWN Q&A
低血糖は、「起きない・起こさない」にこしたことはありません。でも、低血糖を避けるために、毎日の生活が規則正しく全く変化のない暮らしがずっと続くのもつらくなりますし、仮に十分に注意していても、ちょっとしたことから低血糖に遭遇する可能性があります。
糖尿病のない人にも低血糖は起きます。血糖値が下がるとインスリン分泌量が減って、一方で血糖を上昇させるホルモンが分泌されて血糖が下がり過ぎないように調節されていますが、食事などで糖分の補給ができずに急に血糖が下がりすぎると、調節がうまくいかなくなることがあります。そのとき経験するのが動悸、冷汗、手指のふるえなどの症状ですが、これは「これ以上血糖が下がると中枢神経の機能が低下して危険だよ」という体からの警告症状でもあるのです。
ですから、インスリン分泌がうまくいかないために血糖管理が自然にできない糖尿病では「付き物」ともいえる症状です。特に、薬物療法を行っている方にとって低血糖は効果と背中合わせといわれています。しかし、放置されれば意識障害、昏睡などに陥って命にもかかわってきます。
だからこそ、低血糖を知って、経験して、上手に対応する術を身につけておくことがとても大切です。そうすれば低血糖が起こりやすい状況を予測できるようになり、迅速な対応ができるようになります。
インスリン製剤や経口血糖降下薬の用法・用量と、食事療法、運動療法のバランスがうまくとれていないときに起こります。たとえば、
低血糖は生体にとってエネルギーが不足している状態を体が伝えるための症状です。恐ろしい病気ではありません。すぐに糖分を補給すれば回復しますので、あわてずに行動しましょう。軽度のうちの対応がとても大切です。
・低血糖の症状や対策などについて周りの人によく理解しておいてもらいましょう。
・日頃から、糖尿病手帳を携帯しましょう。
宮崎久義、豊永哲至 編:わかりやすい糖尿病テキスト 第5版 じほう ,21,2018
意識がある場合は自分で対処することができます。低血糖かなと思ったり、体調が良くない時には血糖値を測定することで、低血糖状態に気づくことができます。
しかし、いつも自分で対応できる低血糖ばかりとは限りません。自分では対応できないときでも、もしもの事態を回避できるように身近な人や家族にも低血糖について知っておいてもらうことや、身近な人のいない場面でも常にIDカードを携帯して周囲の人の協力が得られる態勢を整えておくことが大変重要です。「もしも」の準備・心構えをもっておきましょう。
自分の低血糖症状を知っておくこと、また生活の中でどんなときに起こりやすいのか自分の生活パターンと照らし合わせて把握しておくと、事前に察知することができます。低血糖を全くなくす方法は現在のところありません。大切なのは意識障害や昏睡に陥る前に早めに対処できるようになることです。また、低血糖の経験から、その状況を踏まえて医師と相談して治療法を見直す方法もありますし、再発を起こさないようなライフスタイルに変えるのでもよいでしょう。
IDカード問い合わせ先:社団法人日本糖尿病協会(電話03-3514-1721)
辻野元祥 著 編:ナースのためのやさしくわかる糖尿病ケア ナツメ社, 222-224,2011
宮崎久義、豊永哲至 編:わかりやすい糖尿病テキスト 第5版 じほう ,22,97,2018
監修:山王病院 糖尿病内分泌代内科部長 小田原 雅人 先生