DMTOWN Q&A

重労働の方

屋外での作業などで、汗をかいて体を動かすことが多い。
日によって仕事量に大きく差がある。

屋外の仕事で、夏場のインスリンの温度管理は?

屋外の仕事が多いので、夏場、気温が非常に高くなります。
インスリンは温度管理など保管が大変って聞いたことがあるのですが、
自分には難しいのではないでしょうか?

藤田進彦先生

近年の夏の暑さは大変なもので、気温が35℃を超えることも珍しくありません。そんななか、屋外でのお仕事をされている方には、本当に頭が下がる思いです。さて、インスリンの保管方法ですが、適正な温度を保つ必要があるのは確かです。
インスリンは、開封前には冷蔵庫内に2~8℃で保管し、開封後にも暗いところに室温で保管をする必要があります。開封前のものでも短期間であれば常温でも特に問題はありませんが、インスリンは37~40℃程度の高温になると品質に変化が起こりやすいといわれています。そのため、患者さんが働かれているような屋外や、閉め切った車の中などでは、保管に工夫をする必要があります。
具体的には、凍結した保冷材をタオルに包み、インスリンとともに保冷バッグで保管する方法があります。この方法の場合、350gの凍結保冷材を使用すると、約8時間にわたり30℃以内で保管することが可能となります1)。なお、保冷バッグのみでは、温度の上昇は避けられませんので、注意してください。

また、こうした保管が少し面倒に感じる方や、不安に感じる方には、1日1回の注射で効果が24時間持続するタイプのインスリンを使用する方法もよいかと思います。
この方法は、BOT(Basal-Supported Oral Therapy)と呼ばれており、現在服用されているお薬と、この効果が長く続く「持効型」インスリンの効果を合わせることで、血糖値を管理するものです。BOTならば、お仕事中に注射をする必要はありませんので、保管などの面でも安心感が得られるのではないでしょうか。

1) 西村博之ほか. 糖尿病. 51(11): 1017-1023. 2008.

先生からのメッセージ

インスリンを保管するにあたって、夏場の高温には気をつける必要がありますが、それと同様に冬場の凍結にも注意してください。凍結した場合、インスリンの作用時間に異常をきたしたり、注射器の不具合が生じたりします。
インスリンは人の体内でつくられるホルモンですから、ご自身のお体と同じように考えていただければ、高温や低温時の保管も特に難しいことはないと思います。

藤田進彦先生

藤田進彦先生

吉祥寺・藤田クリニック 院長
診療科:糖尿病内科 循環器内科 腎臓内科 甲状腺内科 一般内科

吉祥寺・藤田クリニック

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