インスリン注射による治療

BOT治療について

経口血糖降下薬はそのままで、注射は1日1回

初めての人でもインスリン療法を始めやすい方法として、今服用している経口血糖降下薬を続けながら「持効型(じこうがた)」と呼ばれる、効果が長く続くインスリンを1日1回だけ注射する方法(BOT)もあります。経口血糖降下薬と持効型インスリンの効果を合わせて血糖値を下げる方法です。血糖管理が不十分な2型糖尿病のある人では、食後の高血糖だけでなく空腹時の血糖値も上昇しています。このため、空腹時高血糖が1日の血糖の推移を押し上げ、食後の血糖値が上昇する原因となっています。

「持効型」インスリンを補充して、空腹時の高血糖を改善することで、全体の血糖の推移がだるま落としのように低下し、糖毒性※※が解除され、本来のすい臓の機能が回復してくると、食後高血糖の改善にもつながります。

※BOT:Basal Supported Oral Therapy
※※糖毒性:高血糖の状態によってインスリンの分泌が阻害されたり、インスリンの感受性が低下する状態

※イメージ図

日本でも広がっているBOT

これまでの基礎インスリンでは、作用時間が短くまた、ピークがあるため糖尿病のない人と同様な基礎分泌の再現が難しかったのですが、ほぼ24時間にわたり効果が持続し明らかなピークがない「持効型」インスリンの登場により、日本でも新しい治療法としてこのBOTが広がっています。

※イメージ図

監修:東京医科大学 内科学第三講座 主任教授 小田原 雅人 先生