経口血糖降下薬による治療
肝臓では常にブドウ糖が産生され、血液中に放出されています。この肝臓での糖の産生にはグリコーゲンの「分解」と「糖新生」という2つの過程があります。糖新生とは、乳酸やアミノ酸などのブドウ糖以外の物質からブドウ糖を産生する過程のことをいい、インスリンはこの糖新生が過剰にならないように調整しています。2型糖尿病ではインスリン分泌能の低下やインスリン抵抗性によって、糖新生が過剰になってしまいます。
ビグアナイド薬は、この肝臓で行われている過剰になった糖新生を抑えることで空腹時血糖を下げます。そのほかに、腸で行われるブドウ糖の吸収を抑えたり、骨格筋などのインスリン感受性を改善してブドウ糖の取り込みを増加させるなどの働きにより、間接的なインスリン抵抗性の改善効果を得ることができ、さらに食後高血糖の改善もするといわれています。
肥満とインスリン抵抗性による高インスリン血症がみられる2型糖尿病への使用が最もよく、血糖管理改善での体重の増加がしにくいとされています。なお、肥満でない人に用いても血糖改善効果がみられることもあります。
血糖管理がよくなったからといって自己判断で服薬を中止してしまうことは決してしないでください。血糖管理が順調なのは、食事療法・運動療法と、服薬している薬が上手く機能しているからです。薬の量を減らす、増やす、止めるなどの判断は、医師が患者さんの状態にあわせてその都度適切な処方をしていますので、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
もし、今、服薬している薬について少しでも不安や疑問があれば、遠慮せずに主治医または薬剤師に相談するようにしましょう。安心して、信頼して薬が飲めることも、治療の継続と成功への大切な要素であることを知っておきましょう。
監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生