食事・運動療法

糖尿病になりにくい生活(食事)

糖尿病は発症要因から大きく1型、2型に分けられます。日本人では糖尿病患者さんの約95%が2型糖尿病といわれ、「ストレス」、「肥満」、「運動不足」、「暴飲暴食」などのライフスタイルのみだれがおもな原因となって起こります。

生活習慣病の1つとして数えられているのはこの2型糖尿病です。

そのため、2型糖尿病の場合は、こうした原因に気をつけて日常生活をおくることができれば、糖尿病になりにくい体をつくることができます。

※1型糖尿病の場合は、突然発症し、一部ではインスリンをつくるすい臓のβ細胞がウイルス感染により破壊されるといわれていますが、その原因と予防は確立されていません。

糖尿病になりにくい生活:食生活をみなおしましょう

糖尿病治療の基本は、食事療法です。食事療法が糖尿病に効果的なのはなぜでしょう。

2型糖尿病はインスリンの分泌や、作用する力が不足して起こる病気です。もともとインスリンを分泌する量が欧米人に比べて少ない私たち日本(アジア)人が、欧米化した食生活や食事を多くとりすぎれば、糖分の処理が追いつかなくなり、血糖値は上がりっぱなしになります。この状態が休むことなく毎日続けば、必然的にすい臓のインスリンを分泌する力はさらに衰えてしまいます。

食事療法の基本的な考え方は、カロリー(エネルギー)を必要以上にとらないようにすることです(必要量以上のカロリーの摂取は体にとって害となります)。バランスのとれた栄養を1日の必要量のカロリーでとることで、すい臓の負担は軽くなり、すい臓の十分な能力は回復されます。
ですから、食べすぎや、インスリンをより多く必要とするメニューに気をつけた食事内容が糖尿病治療にはとても効果的なのです。

これは、今、糖尿病でない人にとっては、糖尿病の効果的な予防法にかわります。

ちなみに、糖尿病によい食品、悪い食品というものはありません。
どんな食品でもとりすぎなければ体によいし(嗜好品は少量でもよくありません)、とりすぎればどんな食品でも体に悪いということです。

糖尿病の人は、食事療法をはじめる際に医師からわたされる食事指示票(食事指導票)にしたがって食品交換表を活用しながら1日の総エネルギーをきちんと守った、バランスのとれた食生活をおくっています。
今、糖尿病でない方も、ぜひ参考にしてください。

決められたカロリーの範囲内で、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよくとる工夫が大切です。
食品のカロリーや栄養素を知ることができる食品交換表は私たちの食生活に活かす目安として、とてもよいガイドになってくれます。

食品交換表表紙イメージ

糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版

編・著  一般社団法人 日本糖尿病学会
発行者 公益社団法人 日本糖尿病協会
発行所 株式会社 文光堂
定価  (本体900円+税)

※2019年8月現在の情報です。

日本糖尿病学会編・著「糖尿病食事療法のための食品交換表」に関する掲載・記述については、一般社団法人日本糖尿病学会の引用使用許可を得ています。
リンクあるいは転用などを行う場合は必ず該当する部分のデータあるいはプリントアウトを添付するなどして同学会の引用許諾を得てください。

毎日の食事の際に、まず、1日の中で自分がどのくらいカロリーと栄養をとっているのか知ることから始めてみましょう。

3日坊主では、体はよろこんでくれません。自分の今までの食生活を知ることができたら、正しいエネルギー量の範囲でおいしく、楽しく食べる工夫をしてみましょう。

長く続けていくことが糖尿病にならない体をつくるヒケツです。

食事のポイント

体に不安がある人は、かかりつけの医師に相談し、運動するときは、以下のポイントに気をつけましょう。

  • 基本は、朝・昼・晩の食事をきちんととることです。間食はごくごく控えて
  • コーヒーや紅茶にはなるべく砂糖は入れないように、どうしても欲しいなと思ったら、代用となる人工甘味料を持ち歩いてみるのもよいでしょう
  • 職場での昼食は、なるべくなら弁当持参にしてみては?コンビニのお弁当よりぐっとカロリーを控えることができます
  • 外食をするときは、和食や和風の定食をとる機会を多めに
  • バター、マーガリンやドレッシング、揚げものや油炒めなどはカロリーが高いので注意しましょう
  • 味つけが単調になりがちであれば、調味料や香辛料、ハーブ類などバリエーションをかえることで飽きのこない食事になります
  • 野菜、海草、玄米、麦ごはん、キノコ類などから食物繊維を積極的にとりましょう
  • 主菜をとりすぎる場合が多い方は、おかずの量に注意してみましょう
日々の食事のコツ

監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生