DMTOWN Q&A

シニアの方

すでに退職していて自分のペースで生活しているが、運動不足になりがち。
他にも薬を服用している。

いくつも薬をのんでおり、さらに注射は避けたい

様々な病気で通院しており、いくつもお薬を飲んでいます。
その中で、飲むだけではなく、注射までするのは大変でできれば避けたいのですが・・・。
又、飲めなくなる薬などはないでしょうか?

中塔辰明先生

 インスリン治療を開始した患者さんの気持ちに関する調査の中で、インスリン治療について「思ったより注射は難しくなかった」と答えた方が半数を超えているように1)、インスリン注射はご想像されているほど難しいものではありません。注射の痛みに関しても、実際にインスリンを始めてみると9割近くの方が「痛くない」とおっしゃっています。また、1日何回も注射をという治療法だけではなく、1日1回の注射ですむ場合もありますので、手間が増えるとご心配されずに、ぜひ、主治医の先生に勧められたら、より前向きに検討されてみることをお勧めします。

さらに、インスリンによる治療は、糖尿病の治療薬の中で最も長い約90年という歴史があり、多くの使用経験から長期にわたる安全性が確認されている治療法です。もともと自分のすい膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンを不足している分だけ補う治療ですので、飲み薬よりも体にやさしい治療です。糖尿病治療薬以外の薬剤を服用されている場合でも、薬の飲み合わせの危険性が比較的少ないので、これまでの治療の継続が可能な場合が多いです。とはいえ、治療薬のチェックは必要ですので、開始するとなった際には、主治医や薬剤師の先生にご相談ください。

1) 渥美義仁:新薬と臨牀, 58(7):69-81,2009

先生からのメッセージ

糖尿病は、気づかないうちに合併症が進展するため、血糖管理が乱れたままにしておくと、視力障害や神経障害のリスクが高まる上に、さらに患者さんにとって負担の大きな人工透析が必要となることもあります。また、最近の研究では、認知症の発症のリスクも高まるといわれています。「“手間”が増えて大変だ」と思われるのも分かりますが、日々の生活をより有意義に過ごすためにも、「血糖管理をより良くするいい機会だ」、「生活習慣も併せて見みつめなおす機会にしよう」とぜひ前向きにとらえていくようにしましょう!
インスリン治療を始めることで自己血糖測定ができることも大きなメリットとなります。自己血糖測定を行うことでご自身の状態を知ることができるよい機会にもなると思います。

中塔辰明先生

中塔辰明先生

施設名:岡山済生会総合病院
診療科:糖尿病センター
専門領域:糖尿病

岡山済生会総合病院

〒700-8511
岡山市北区伊福町1-17-18
Tel:086-252-2211(代表)