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薬物療法について

インスリン製剤を知る

インスリン療法を知る

健康な人は、血液中に少量のインスリンが常に分泌(基礎分泌)され、さらに食後に血糖値が上昇すると大量のインスリンを分泌(追加分泌)することで血液中のブドウ糖の量が一定に保たれるよう、血糖値の調整が行われています。

1型糖尿病は、このインスリンが非常に不足しているかまたは全くないため、この調整を自然に行うことができません。そこで、1型糖尿病ではインスリン製剤を自己注射することで体の外から補って、健康な人と同じ血糖値の変動パターンに近づけて血糖コントロールを図ります。これがインスリン療法です。
2型糖尿病でも、1型糖尿病が疑われたり血糖コントロールが経口薬だけでは上手くいかない場合や妊婦などに用いられます。
従来、インスリン療法というと血糖コントロールが上手くいかない場合の最後の手段とされていましたが、インスリン製剤やその治療方法が飛躍的な進歩を遂げ、インスリン療法を取り巻く環境は今なお進化し続けています。さらに近年、合併症の予防を目的に「早期から良好な血糖コントロールを実現する」という治療の概念に基づいて積極的なインスリン導入が推奨されるようになり、1型糖尿病のみならず2型糖尿病にも広く受け入れられ活用されています。
現在では、様々な製剤の種類や方法がありますので、自分の状態やライフスタイルにあった方法がきっとみつけられます。

超速効型インスリン製剤

どんな働きをするの?

健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンにかなり近づけることができます。
食事直前の自己注射で、食後の血糖値の上昇を抑えて食後高血糖を改善します。
注射してから効果が出るまでの時間は10〜20分と早いので、食事の直前に注射でき、仕事などで食事時間が不規則になった場合への対応が可能ですので、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)を高めることができます。
また、インスリンの作用が持続する時間が3〜5時間と短いので次の食前や夜間の低血糖の発現のリスクを減らすことができます。

使い方は?

食事直前に自分で皮下注射します(自己注射)。 超速効型インスリン製剤は次の食前には効果が消失するため、食後1〜2時間の血糖値と次の食前血糖値を一緒にみておくことが大切です。
食後1〜2時間血糖値よりも次の食前血糖値のほうが高い場合は、追加分泌ではなく、インスリンの基礎分泌が足りないことが考えられるため、持効型または中間型インスリンの増量または投与が検討されます。

気をつけること・知っておきたいこと

1
血中からのインスリンの消失が速やかであることから、インスリンの基礎分泌を補うため持効型や中間型のインスリン製剤の投与量や注射回数が増えることがあります。
2
食後高血糖が十分に是正できない、夜間高血糖がみられる、食事の前に投与しておくことが難しい、ライフススタイルが不規則などの場合に、速効型インスリンから超速効インスリンへの切り替えが考慮されます。
3
超速効型インスリンは効果の発現が速いので、糖質の少ない前菜からなどのゆっくりとした食事や、食事の時間が遅れた場合には、食事中または食後に低血糖になるおそれがあることを知っておきましょう。
4
投与後すぐに運動するときには、投与量の減量や糖分の補給が必要な場合があります。糖分補給の用意をして、できれば投与後30分以上経ってから運動するとよいでしょう。

速効型インスリン製剤

どんな働きをするの?

健康な人の食後のインスリン追加分泌パターンの再現を目的につくられたインスリン製剤で、生理的なインスリン追加分泌パターンに近づけます。
食事の約30分前に自己注射して、食後の血糖値の上昇を抑制して食後高血糖を改善します。
注射してから効果が出るまでの時間は30分〜1時間で、インスリンの作用が持続する時間は5〜8時間です。レギュラーインスリンとも呼ばれ、筋肉注射や静脈注射が唯一可能なインスリン製剤です。


使い方は?

食事の約30分前に自分で皮下注射します(自己注射)。次の食前に血糖値が下がりすぎないように投与量を調整して用います。


気をつけること・知っておきたいこと

1
血中からのインスリンの消失は、超速効型ほどではないのですが速やかなため、インスリンの基礎分泌が足りない場合は、基礎分泌を補うために持効型または中間型インスリン製剤を一緒に使います。
2
食後高血糖が是正できない、夜間高血糖がみられる、食事の前にあらかじめ投与しておくことが難しい、ライフススタイルが不規則などの場合には、超速効型インスリンへの切り替えが考慮されます。
3
食間から次の食前に低血糖が起こりやすくなりますが、間食により低血糖を予防することができます。
4
投与後すぐに運動するときには、投与量の減量や糖分の補給が必要な場合があります。できれば投与後しばらく経ってからの運動がこれらの不安が軽減されるのでよいでしょう。

中間型インスリン製剤

どんな働きをするの?

健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的として、インスリンの効果が持続的に作用するようにつくられたインスリン製剤です。
不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制します。
注射してから効果が出るまでの時間は1〜3時間で、インスリンの作用が持続する時間は18〜24時間です。


使い方は?

朝食前30分以内や、朝食直前に自分で皮下注射します(自己注射)。
作用時間が短い場合は1日2回投与に増やすなど、1日の投与回数を調整して用いることができます。


気をつけること・知っておきたいこと

1
中間型インスリン製剤は、インスリン濃度にゆるやかなピークがあるため、効果の強弱がみられます。健康な人のインスリン基礎分泌はいつもほぼ一定ですので、中間型インスリンの効果が発現する時間を考慮しながら食事をする必要があります。
2
作用の持続時間が短いため、就寝前の投与による夜間の低血糖や翌朝の血糖値が十分に低下しないことなどが、みられることがありますので、作用時間を考慮して注射時間を決める必要があります。

混合型インスリン製剤

どんな働きをするの?

超速効型や速効型インスリンと中間型インスリンを、いろいろな割合であらかじめ混合したインスリン製剤です。
インスリンの基礎分泌、追加分泌の補填を同時に行えるようにつくられた製剤です。
効果の発現は超速効型または速効型インスリン製剤と中間型インスリン製剤のそれぞれの作用時間にみられますが、作用の持続時間は中間型インスリン製剤とほぼ同じになります。


使い方は?

朝食直前や、朝食直前と夕食直前、朝食前や、朝食前と夕食前30分以内に自分で皮下注射します(自己注射)。


気をつけること・知っておきたいこと

1
混合型インスリン製剤は、1つの製剤で基礎分泌と追加分泌が同時に補える製剤です。
2
たとえば、1日2回(朝食と夕食)の投与製剤では、昼食分の追加分泌分のインスリンがないため、昼食後か夕食前の血糖値が上昇しやすくなります。このようにライフスタイルが決まっている場合はそれにあわせた投与回数の混合型を選択すれば便利ですが、食事の状況などのライフスタイルが変動しがちな場合は、注射のタイミングや量の調整など臨機応変な対応はしづらいことを知っておきましょう。

持効型溶解インスリン製剤

どんな働きをするの?

健康な人の生理的インスリン基礎分泌パターンに近づけるために、基礎分泌を補うことを目的につくられたインスリン製剤です。
不足しているインスリンの基礎分泌を補い、空腹時血糖の上昇を抑制して、1日中の血糖値を全体的に下げる働きがあります。
注射してから効果が出るまでの時間は1〜2時間で、インスリンの作用が持続する時間はほぼ1日にわたります。


使い方は?

それぞれの状態やライフスタイルなどによって、朝食前や、夕食前、就寝前など1日1〜2回自分で皮下注射します(自己注射)。
多くの場合は1日1回投与製剤が選択されています。


気をつけること・知っておきたいこと

1
作用時間が長く、インスリン濃度のピークが小さく、いつもほぼ一定に作用しますので、健康な人のインスリン基礎分泌により近くなっています。さらに、ほぼ1日にわたり作用が持続し基礎分泌を補うことが可能なことから、QOLが高まります。
2
作用時間が長く、インスリン濃度のピークが小さいため夜間の低血糖を起こすリスクが少なくなります。
3
全体的に血糖値を下げるため、体重増加のリスクが少ないとされています。
4
基礎分泌の是正が目的ですので、食後高血糖の改善効果は強くありません。そのため、食後高血糖が顕著で改善できない場合は、超速効型インスリン製剤や経口薬(SU薬や速効型インスリン分泌促進薬など)と併用すると、健康な人の基礎分泌、追加分泌のパターンにより近づけることができます。
<各薬剤共通の注意点>
2型糖尿病の場合、インスリン療法においても基本は食事療法・運動療法がきちんとできていることが必要です。
インスリン療法について少しでも不安や疑問があれば、遠慮せずに主治医または薬剤師に相談するようにしましょう。安心・信頼してインスリンの自己注射に臨めることは、治療の継続と成功への大切な要素であることを知っておきましょう。

インスリン療法の実際

どのインスリン製剤を選択して、どのように注射を行うのかは、患者さんの病態やライフスタイルなどさまざまな状況を考慮して最も適した方法を医師が選択します。インスリン療法が適応となる患者さんは、基本的に必ず必要な場合(絶対的適応)と、必ずではないが必要な場合(相対的適応)の2つに分けられます。

インスリン療法が絶対的適応になる人
  • インスリン依存状態(1型糖尿病)
  • 高血糖性の昏睡(糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、乳酸アシドーシス)
  • 重症の肝機能障害、腎機能障害を合併しているとき
  • 重症感染症、外傷、中等度以上の外科手術(全身麻酔施行例など)のとき
  • 糖尿病合併妊婦(妊娠糖尿病で、食事療法だけでは良好な血糖コントロールが得られない場合も含む)
  • 静脈栄養時の血糖コントロール
インスリン療法が相対的適応になる人
  • インスリン非依存状態でも、著明な高血糖(たとえば、空腹時血糖値250mg/dL以上、随時血糖値350mg/dL以上)を認める場合
  • 経口薬療法では良好な血糖コントロールが得られない場合(SU薬の一次無効、二次無効など)
  • やせ型で栄養状態が低下している場合
  • ステロイド治療時に高血糖を認める場合


インスリン療法の考え方は、インスリン注射によって体の外からインスリンを補って、健康な人の血中インスリンの変動をできるだけ忠実に再現することです。
1型糖尿病では、病気がみつかった時期と状態・進行状況によって多少の差はありますが、インスリンの分泌が非常に低下しているか、または全くないので、現在では基礎分泌と食後の追加分泌をともに補う強化インスリン療法(Basal-Bolus法)が主として用いられています。インスリン療法の開始時には、原則として入院して治療を開始します。
2型糖尿病では、インスリン分泌能が保たれている場合は、基礎分泌、追加分泌のいずれかを補うことで血糖コントロールの改善がみられることもあります。一般に妊婦の方や妊娠を希望する場合や、清涼飲料水ケトーシスなどでは強化インスリン療法を用いますが、その他にも状態に応じてさまざまな投与方法があります。患者さんの年齢、血糖コントロールの目標値、インスリンの分泌能とさらに、インスリン療法への理解、ライフスタイルなどを総合的に加味して、最も適した投与方法が決定されます。

強化インスリン療法とは?

生理的なインスリン分泌能を忠実に再現するために、患者さん自身が、血糖自己測定(SMBG)を用いて自分の血糖値の動きを把握し、医師によりあらかじめ決められたインスリン投与量の範囲内で食事内容、運動量に応じてインスリン量を調整しながら血糖コントロールを図る治療法です。
インスリン療法が必要と判断された場合にまず選択される治療法ですが、自己注射と自己の血糖管理が必要ですので、治療への理解と低血糖になったときにきちんと対処できることが重要です。
強化インスリン療法を用いて徹底的に健康な人のインスリン分泌を再現することで、インスリンを分泌する働きの回復や、さらなる分泌する働きの低下を予防することができます。また、特に1型糖尿病では強化インスリン療法によって的確に血糖コントロールすることで糖尿病合併症の発症や進展の予防にもなります。
強化インスリン療法には、インスリン頻回注射と持続皮下インスリン注入(CSII)療法があります。

インスリン頻回注射

強化インスリン療法では、インスリン頻回注射が原則として選択されます。
インスリン基礎分泌を中間型または持効型溶解インスリン製剤1日1〜2回、インスリン追加分泌を超速効型または速効型インスリン製剤1日3回を組み合わせて、1日3〜5回注射する方法です。原則として1日4回(4回法)が用いられ、並行して1日1〜7回程度の血糖自己測定を行います。

運動量が多い、または激しかった日などには低血糖症状がみられていなくても必ず就寝前に血糖測定すること、また、血糖値が変動しやすいのでライフスタイルにあわせて捕食の時間や回数を臨機応変に考慮することが大切です。

持続皮下インスリン注入(CSII)療法

一般的に、インスリン頻回注射でも良好な血糖コントロールが得られず、より厳格な血糖管理が必要な場合、特に小児・思春期の1型糖尿病、妊婦などに考慮されます。
CSIIは、体の外に小型のポンプを取り付けて、腹部の皮下に留置した針・チューブから超速効型または速効型インスリンを持続的に注入して健康な人のインスリン分泌を模倣する投与方法です。ポンプ機器管理と取り扱いは患者さんが自分で行います。超速効型または速効型インスリンを電動で持続的に注入して(基礎分泌)、各食前には手動で追加注入(追加分泌)を行いますので、皮下に長くインスリンが留まることがなく、夜間の低血糖などのリスクが低いとされています。

※インスリン注射や投与量の調整、血糖管理は自分で行いますが、注射の基本操作や血糖自己測定による血糖管理は、医師の指導をきちんと受けた上でできるものです。投与回数や医師の設定を超える投与量の変更が必要なときなどは、特に自己判断で変更せず、必ず医師と相談の上でそのときにあった投与方法を行っていけるようにしましょう。

その他のインスリン療法

2型糖尿病など、インスリン分泌がある程度保たれている場合では、基礎分泌から治療するのか追加分泌から治療するかといった、決まった治療方針は現在のところありません。
また、頻回の注射が難しい、強化インスリン療法が使えないなどの場合もあるため、
たとえば、
1.混合型または中間型インスリン製剤のみ、
または
2.基礎分泌が保たれているようであれば追加分泌の不足分だけ補う(超速効型または速効型インスリン製剤の投与)、
あるいは
3.持効型溶解インスリンで基礎分泌を補い追加分泌にはSU薬を用いる(BOT:basal supported oral therapy)という経口薬のみで血糖コントロールが不良な場合にインスリン基礎分泌をインスリン注射で補う方法など、基本的に患者さん個々の状態にあわせたさまざまな注射方法が用いられています。

※インスリン注射や投与量の調整、血糖管理は自分で行いますが、注射の基本操作や血糖自己測定による血糖管理は、医師の指導をきちんと受けた上でできるものです。投与回数や医師の設定を超える投与量の変更が必要なときなどは、自己判断で変更せず、必ず医師と相談の上でそのときにあった投与方法を行っていけるようにしましょう。

インスリンの用法・用量調節の基本的考え方

インスリンの投与量の決定は、まず患者さんの状態に合わせて医師が目標血糖値を設定し、それに応じてインスリン製剤や投与方法を選択することから始めます。
一般的な目標血糖値の目安として、最も厳格な血糖管理が求められるのは妊娠に関連した場合で、朝食前血糖値70〜100mg/dL、食後2時間血糖値120mg/dL未満、HbA1c6.2%(JDS値:5.8%)未満が目標とされます。次いで良好なコントロールが要求されるのは、高血糖を放置していた場合で、インスリン分泌能の改善を目指して毎食前血糖値120mg/dL以下が目標となりますが、網膜症を合併している場合は急激な血糖低下で悪化してしまう可能性があるので開始当初数ヵ月は150〜180mg/dLくらいを目標にして、徐々に最終目標まで下げていきます。また高齢者や悪性腫瘍を合併している場合は、予後や合併症の重篤度、QOLなどを考慮しながらそれぞれの状況にあわせて目標血糖値が設定されます。
目標血糖値が決まったら、自分の血糖値の変動を1日1〜7回の血糖自己測定で確認して、その結果をみながら血糖値が目標値になるようにインスリンの投与量を調節していきます。
インスリン投与量の調節方法は、現在では前向き用量調節(スライディングスケール法)と後ろ向き用量調節(責任インスリン方式)の2つの考え方に分けられています。
インスリン療法は自己注射が基本ですから、それぞれの適応、注意点を知っておくとよいでしょう。自分が今どのような治療をどういう理由で行っているのかわかっていると、目標血糖値に向かいやすくなり、いざというときにも落ち着いて対応できるようになります。

後ろ向き用量調節(責任インスリン法)

通常の血糖コントロールが必要な場合、血糖値を左右する急性の疾患の合併がない安定した糖尿病に用いられている方法です。

インスリン療法では、注射したインスリン量がその後の血糖値の変動を決定づけます。そのためそのとき測定された血糖値に最も影響を与えるインスリンが存在します。これを責任インスリンといいます。たとえば、超速効型または速効型インスリンを毎食前に注射していれば、昼食前の血糖値に対する責任インスリンは朝食前に注射した超速効型または速効型インスリンということになります。
後ろ向き用量調節は、この責任インスリンに着目した現在の血糖値に最も影響を与えるインスリン量を調節する方法で、2、3日間の血糖値の変動の傾向をみて責任インスリンの注射量を決めて血糖コントロールを図ります。
血糖値が安定していて、インスリン調節のコツがつかめれば生活リズムの変更にあわせて血糖測定時間を工夫して測定回数を減らすこともできます。

気をつけること・知っておきたいこと(大西秋津ほか:診断と治療 97(2):254, 2009より)
  • 血糖値は食事の内容や食事時間がずれたりしたとき、運動量によっても変動します。1回、高血糖がみられたからといってすぐにインスリンを増量したりせず、医師と相談しながらインスリン注射による生理的なインスリン分泌の再現性を確認してから変更するようにしましょう。
  • ソモジー(somogyi)効果という高血糖が起こることがあります。ソモジー効果とは、過剰なインスリン投与で低血糖を起こした後に、インスリンを増やすホルモン(インスリン拮抗ホルモン)が分泌され、この影響で血糖が上昇する現象です。ソモジー効果がみられたら、責任インスリンを減量します。通常の高血糖の対処とは間逆となることを覚えておきましょう。
  • インスリンを増量しても血糖値が改善しないとき、血糖値の変動の幅が大きいときは、食間や午前3時頃の血糖値を測定して低血糖がないか確認しましょう。

前向き用量調節(スライディングスケール法)

インスリン投与前に測定する血糖値に基づいてその時に注射するインスリンの量を調節する方法で、スライディングスケールをベースに投与量が調節されます。

スライディングスケールは、個々の患者さんごとに病気の状態、今までの血糖値の変動パターン、体重あたりのインスリンの必要量などを加味して医師があらかじめ血糖値に応じたインスリン量を決めておく目安表で、患者さんは4〜8時間ごとに血糖自己測定し、測定された血糖値の高さに応じてこのスライディングスケールに従ったインスリン量を注射します。 あらかじめ測定血糖値の範囲に基づいた投与量が決められているので、その時々の糖質の摂取量、運動量、1回前に投与したインスリン量などの要因の変化には対応しておらず、測定した血糖値の数値のみでインスリン量が決められます。
そのため、シックデイでどのくらいの量が必要なのか予測がつかないときや、急な場面に遭遇したときなど、特殊な状況下におかれていてただちに対処しなければならないときには、そのつど血糖自己測定を行ってその血糖値に従ってインスリンを追加投与することができるのでスライディングスケールを用いた前向き用量調節がよいとされています。
前向き用量調節は、主に手術前後、感染症、他の疾患の急性期などで入院しているときなどの異常事態に適した調節方法であるとされています。

気をつけること・知っておきたいこと
  • 食事状況や運動量などが考慮されずに、測定時の血糖値の数値のみでインスリン注射量が決まるので、思わぬ高血糖や低血糖を招き、医原性の血糖変動につながることがあります。たとえば、血糖値が低いとインスリン投与量は少なくなるのでその後の測定時に血糖上昇がみられて高血糖となり、必要以上のインスリン量が投与されることになり、その後の測定時には低血糖をきたすなど、かえって血糖コントロールが不安定になることがあります。さらに低血糖時にはソモジー効果でよりこの傾向が強くなることがあります。
  • 血糖値の高さに応じてインスリン量を増やして投与するので、血糖コントロールの良好な安定につなげるための方法とはなりません。高血糖を短期間で修正する、緊急時やインスリン抵抗性が増強した際の短期的な方法と考えるとよいでしょう。病態が落ち着いて、必要インスリン量が決定され、引き続きインスリン療法が必要となった場合には後ろ向き用量調節を用いるようにします。
  • 漫然と行わないことが大切です。
  • 食事に際して食物中の炭水化物の量を量り食後の高血糖を抑え、また、インスリン注射している場合ではそれに応じてインスリン量を調節し、良好な血糖コントロールを目指す方法をカーボカウントといいます。

インスリン療法からの離脱はできるのか?

基本的に1型糖尿病はインスリンの分泌が非常に低下しているか全くないので、インスリン療法は必須になりますが、2型糖尿病では、インスリン分泌能や血糖コントロールの状態によってはインスリン療法が選択された後に、インスリン療法から経口血糖降下薬による治療に変更することもあります。
インスリンを分泌するすい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞は、高血糖状態が放置されたままにしておくと、働かなくなってしまうことがあります。
そのときには、インスリンを外から補給してすい臓のβ細胞を休ませることでβ細胞のインスリン分泌能が回復することがあります。これを糖毒性の解除といいます。インスリンの分泌能が十分に回復すれば、再び経口血糖降下薬による治療に戻すことができる場合もあります。
現在のところ、インスリンからの離脱の可否を測る基準や検査法はありません。一般的には毎食前後の血糖値が0.1〜0.3U/kgのインスリン量で問題ない場合経口血糖降下薬への変更が考慮されていますが、インスリン感受性が非常によい場合は少量のインスリンが非常に効率よく利用されているだけでインスリン分泌能は未回復のことがあるので、離脱の対象とはならないことがあります。

離脱の方法と経口血糖降下薬と注意点

  • インスリンからの離脱は、インスリン基礎分泌の補給が必要かどうかでその後の治療が変わってきます。また、離脱を試みた後でも血糖値が目標範囲内まで低下しない場合はすぐにインスリン療法に戻すことも大切です。
  • インスリンからの離脱後は、SU薬や速効型インスリン分泌促進薬を少量にしてすい臓の負担を軽減して、そのかわりにα‐グルコシダーゼ阻害薬やインスリン抵抗性改善薬などのβ細胞への刺激の少ない経口血糖降下薬を併用すると効果的であるとされています。
  • 治療の目標はあくまで良好な血糖コントロールの維持です。必ずしもインスリン量が少量になったからといって、インスリン療法から離脱しなければいけないということはありません。自分が一番よいと思う方法、負担にならずに続けられる治療法をみつけることが大切です。

1型糖尿病のインスリン療法におけるポイント

強化インスリン療法を用いない場合があります

  • 強化インスリン療法は、現在では可能な限り健康な人の血糖の動きに近づけることができる理想的な治療法です。あせらずに、まずは厳格な血糖コントロールよりも注射回数の少ない療法から開始して、注射に慣れていきましょう。治療の必要性の理解にもつながっていくと思いますので、糖尿病についてよく知っておくことも大切です。
  • 網膜症による失明、腎不全による人工透析、重度の心疾患などのライフスタイルが大きく制限される場合には、頻回の注射が困難なことがあります。この場合、それぞれの目標血糖値に応じてインスリン療法が検討されます。
  • 1型糖尿病の発症早期に頻回注射法やCSIIにより血糖コントロールを行うと、インスリン分泌能が回復し、インスリン療法から離脱できることがあります。寛解期またはハネムーン期と呼ばれますが、多くはインスリン分泌能が次第に低下していきますので、強化インスリン療法が再び必要になることを知っておいてください。

不安定糖尿病を覚えておきましょう

  • 1型糖尿病では、グルカゴンの分泌異常を合併していることがあり、グルカゴンが高血糖時に上昇し、低血糖時に低反応になるときには血糖が動揺しやすくなります。また、1型糖尿病はインスリン製剤に対する抗体が出現することがあり、これによりインスリン作用が不安定になって血糖値が不安定になることがあります。
    ※グルカゴン:血糖を上げるホルモン(インスリン拮抗ホルモン)の中で、最も強い作用をもつホルモン。
  • 不適切なインスリン療法によって暁現象(dawn phenomenon)やソモジー効果が起こり、夜間から早朝にかけての血糖不安定の要因となることがあります。その他にも食事・運動の大きな変動や思春期、ストレスなど実にさまざまなことが血糖値を不安定にする要因になります。
    ※暁現象(dawn phenomenon):夜間の成長ホルモンなどの分泌により、インスリン必要量は午前3〜4時頃から増大します。特にインスリン基礎分泌が障害されている1型糖尿病では、これに対応したインスリン調節ができていないと早朝の血糖値が上昇します。この現象を暁現象といいます。
  • まず原因は何かを明らかにすることが大切になります。原因を究明し、それにあわせ必要があればインスリンの種類や投与量などの調整が行われることもあります。

無自覚低血糖を覚えておきましょう

  • 何度も低血糖を繰り返すと自律神経刺激症状による警告が発せられなくなり、自分が低血糖状態にあることを自覚できなくなります。運転中や作業中であれば事故の原因となるだけでなく、低血糖の自覚・発見が遅れると低血糖性昏睡にまで陥る非常にリスクの高い低血糖です。
  • インスリン療法が必要な1型糖尿病では起こりやすいとされていますので、良好な血糖コントロールを維持して自律神経障害の改善につとめるようにしましょう。一度重篤な低血糖を起こしたことのある1型糖尿病患者さんはCSIIの導入が考慮されることがあります。
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